3月に行った展覧会まとめ
狭山池博物館 くらしの道具展
髙島屋史料館 大大阪の百貨店
大阪歴史博物館 新収品お披露目展
阪神梅田本店 九谷焼 北村和義作陶展
阪神梅田本店 C/STORE -ARTSELECTION-
阪神梅田本店 C/STORE -Art&Design-
造幣博物館 造幣局今昔ものがたり~創業150年を迎えて~
きらめきファクトリー だんじり造形美展~地車彫物師 山本陽介氏の世界~
狭山池博物館 土木遺産展 舗装-道・路・道路-
シマノ自転車博物館 「シマノ自転車博物館ができるまで」展
国立国際美術館 感覚の領域 今、「経験する」ということ
国立国際美術館 コレクション2:つなぐいのち
新規開拓した造幣博物館が今月のヒット。歴史ある建物や野外の圧印機に気持ちを昂らせつつ入館し、明治期の日本において造幣局が技術的にも文化的にも大きな役割を果たしたことを学ぶ。当時の機器が展示される中で目を引いたのは、場違いにすら感じる巨大な青い硫酸銅の塊だった。創業当初に硫酸を製造する過程で算出した物であるらしい。こんな所で目にするとは。造幣局の歴史展示、現代の貨幣の製造過程の解説、勲章や褒章類の展示と、物量は多くないものの濃密な展示に最初の階だけである程度の満足感を感じていた。階段を上がって広がっていた貨幣史の展示は、遠い昔に訪れた貨幣博物館の展示風景とダブり、感じていた疲労感のままに流し目に鑑賞。最後の記念硬貨と珍しい硬貨の展示で気分を盛り返し、ようやく終わりかと思ったところで特別展を見て本当に終了。
相変わらず行き当たりばったりに展覧会を選んで行っている。今行きたい気持ちに傾いているのは、4月にリニューアルオープンする藤田美術館と、今月オープンした天理市のなら歴史芸術文化村だろうか。文化財修復工房の見学ができる後者に特に興味がある。
3月に読んだ本まとめ
逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』
青山美智子『赤と青とエスキース』
九段理江『Schoolgirl』
珠川こおり『檸檬先生』
藤原無雨『その午後、巨匠たちは、』
秋道智彌、岩崎望編『絶滅危惧種を喰らう』
ジェリ・クィンジオ『鉄道の食事の歴史物語 蒸気機関車、オリエント急行から新幹線まで』
竹縄昌『日本最初のプラモデル 未知の開発に挑んだ男たち』
長谷川貴彦『イギリス現代史』
みうらじゅん、辛酸なめ子『ヌー道 nude じゅんとなめ子のハダカ芸術入門』
小説を多く読んだ気がしていたがそうでも無かった。今月の一冊はジェリ・クィンジオの『鉄道の食事の歴史物語』。食堂車が導入されてから廃れるまでの黄金時代を中心に、欧米の鉄道の旅と食事文化を描いた一冊。19世紀半ばにプルマン社が導入した食堂車では、地元の食材を使いつつ高級ホテルに近い料理を味わうことができた。豪華列車の旅は一大娯楽として時代を築いたものの、嵩んでいくコストと航空機の誕生で廃れていく。当時のメニューやレシピが諸所に挿入され、華やかなりし頃の鉄道を擬似的に体験できる。走らせれば赤字であるにもかかわらず、続けざるを得なかった豪華列車。個人用の車両を所有していた富豪。およそ1世紀程の栄光ながら、文学や音楽などに影響を与えた鉄道の旅が如何なる物だったか、食事の面から感じられる本だった。同じく原書房が刊行する『船の食事の歴史物語』と『空と宇宙の食事の歴史物語』も読みたい。