9月のまとめ

9月に行った展覧会まとめ

 

京都市京セラ美術館 綺羅めく京の明治美術ー世界が驚いた帝室技芸員の神業
京都清宗根付館 根付植物園
KITAHAMA N Gallery 漫画とデザイン展
阪神梅田本店 田住真之介日本画
阪神梅田本店 ~キルティングアートによる心象風景画~ 米倉健史作品展
阪神梅田本店 西垣至剛WORLD
阪神梅田本店 イラストクリエーターズmeets[VOFAN・空缶王・LOIZA]
大丸梅田店 画業31年の軌跡―笹倉鉄平100の原画展
兵庫県立美術館 ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語
神戸市立博物館    スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち
狭山池博物館 古墳時代導水施設の儀礼
OIT梅田タワー 大阪まちづくりの軌跡と文化~大大阪を中心に~
髙島屋史料館 画工画 明治の画工、世界に挑む
四天王寺宝物館 金剛組四天王寺を支えた宮大工たち―
大阪市立自然史博物館 標本を未来に引き継ぐ~新収資料展2022~
大阪大谷大学博物館 絵から読み解くくらしと文化-平安時代の王朝文化から江戸時代の庶民文化まで-
千總ギャラリー 理外の理
京都dddギャラリー ddd DATABASE 1991-2022
西陣織あさぎ美術館 仏教美術西陣
京都髙島屋 刺繍絵画の世界展 明治・大正期の日本の美
京都髙島屋 技となごみ-木彫秀作展
逸翁美術館 食器愛玩~食を彩る器~
小林一三記念館    
佐川美術館 水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~
佐川美術館 平山郁夫 異文化とのふれあい
佐川美術館 生誕110年 佐藤忠良
佐川美術館 吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入

 

 

今月は初めて訪れた博物館が多かった。膨大な数の根付だけではなく、武家屋敷の建物自体も魅力的な京都清宗根付館。入ると目に飛び込んでくる巨大な太鼓が印象的な四天王寺宝物館。絵画織物の美しさとその可能性を感じさせられた西陣織あさぎ美術館。水に浮かぶかのような外観に、あまり見たことの無い樂焼のインスタレーション系の展示が心に残った佐川美術館。機会があればまた訪れて、空間を味わいたい場所ばかりで、新たな場所で新たな物を見て新たに知る体験をした。

京セラ美術館の帝室技芸員展、髙島屋史料館の画工画展、西陣織あさぎ美術館、京都髙島屋の刺繍絵画展と、絵画を基に産み出された織物作品を一気に色々見たのが印象的な月だった。ここまで綺麗に絵画を再現できるのか。織り方の種類で生まれる立体感。照明の光で煌めく刺繍絵画は、ともすれば色褪せて暗く感じてしまう絵画よりも、輝きが感じられた。西陣織あさぎ美術館で西洋絵画の織物絵も見た印象だと、はっきりと描くのではない日本画の描き方と自然の画題が、織物というメディアに合っているのかなと思う。印象派の作品は綺麗に見えたが、《最後の晩餐》は微妙に感じた。

今一番行きたい展覧会は、龍谷大学ミュージアムの博覧展。明治から戦前期にかけての京都での博覧会/展示会と博物館を挙げ、その頃の展示についての想いを探る。大学博物館では、大阪大学博物館の創立20周年記念所蔵品展と、関西大学博物館の河内國平展も気になっている。後者は10月10日までの会期なので行く機会が無いまま終わってしまいそう。

 

 

9月に読んだ本まとめ

 

竹町『スパイ教室』8巻
村田沙耶香『信仰』

清水唯一朗『原敬
筒井清忠編『明治史講義【人物篇】』
原田大介『インクルーシブな国語科教育入門』
ブレイディみかこ『女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち』
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』
山下裕二『商業美術家の逆襲 もうひとつの日本美術史』
横道誠『イスタンブールで青に溺れる 発達障害者の世界周航記』

 

 

月まとめを書くタイミングの都合上、月末に読んだ本の印象がどうしても大きくなる。9月に最後に読み終えた本は『原敬』。「本格的政党内閣」と言われる内閣が成立するまでにどれだけの道のりがあったかをある程度の深さで学び、その政治家としての在り方も興味深かった。逆に月の頭の方で読んだのは短編集の『信仰』で、こちらの表題作のインパクトも大きかった。原価を常に意識して物事を見てしまい、それを他人にも言ってしまう主人公。ブランド品や高額エステで飾ること自体に意味を見出す友人。その行為は、信仰はうさん臭いカルト商法の絡む宗教とどこが異なるのか。その信仰の果てにあるのは幸せか、幸せがあるのなら信仰は肯定されるのか。最後のカルト宗教の信者たちが熱狂する描写に、そうやって生まれた信仰が宗教として大きくなっていく根っこのような物を感じさせられた。