10月のまとめ

10月に行った展覧会まとめ

 

阪急うめだ本店 英国現代美術の巨匠たち BRITISH CONTEMPORARY MASTERS
兵庫陶芸美術館 北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック アール・デコのガラス モダン・エレガンスの美
兵庫陶芸美術館 丹波焼の世界season6
阪神梅田本店 棒田和義 陶板アート展
阪神梅田本店 ミニチュア造形の世界 私のハロウィン
阪神梅田本店 イラストレーターのウラバナ!展
世界の貯金箱博物館 “いっぱい貯まるね!!”「特大貯金箱展」
尼信会館 森本紀久子展
尼信会館 廣瀬渓仙 水墨画
尼崎城    現代妖怪百雷乱舞
尼崎市立歴史博物館 初代尼崎市長櫻井忠剛と勝海舟・川村清雄
近江神宮時計館宝物館 各地の弘文天皇大友皇子伝説
大津市歴史博物館 大友皇子壬申の乱
大津市歴史博物館 近江神宮造営史-建築技師大洞藤三郎の設計図面から-
大津絵美術館    
三橋節子美術館    三橋節子が愛した野草たち
大津祭曳山展示館    
大丸京都店 D-art,ART
大林組歴史館 
OSEギャラリー  
杏雨書屋 杏雨書屋の宗教文献─『敦煌秘笈』『磧砂版大蔵経目録』とその周辺
杏雨書屋 流行り病を乗り越えて
住友ファーマ展示Gallery
田辺三菱製薬史料館   
MORISAWA SQUARE 

 

 

週末ごとに丹波篠山、尼崎、大津に行き、最後の週末には生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)で休日特別公開されている企業ミュージアムを目当てに大阪を回った。

丹波篠山では兵庫陶芸美術館へ。昔訪れたことのある北澤美術館コレクションの展示ながら、久々にルネ・ラリックの作品をまとまった数見ることができた。当時はエミール・ガレよりもラリック、いやドーム兄弟作品に惹かれていたような覚えがあるが、生物そのものの生の強さを感じるようなガレ作品の方が今は好きかもしれないと感じた。丹波篠山は田畑の脇に電柱と電線がすらっと立ち並んだ風景もきれいだった。

尼崎は尼崎駅の南部を西から東へ移動した。世界の貯金箱博物館と尼信会館を見学し、寺町を少しだけ歩いて尼崎城に歴史博物館。駅からも見える尼崎城は、コスプレゾーンに武器の体験ゾーンと親しみやすい展示が多い。鉄砲が結構重いことを知る。歴史博物館は学校校舎を展示施設としていて、郷土資料館として思った以上に常設展示がしっかりしていた。災害と公害で展示室を一部屋設けていたのが印象的。

大津は近江神宮に参拝した後、大津京駅から大津駅の間にある施設を時間的に行ける範囲で巡った。壬申の乱から1350年ということで関連展示をいくつか見たが、大友皇子のゆかりの地として遠く千葉県まで伝承が残っていることに驚いた。時間の都合で三井寺に行けず、周る範囲が狭くて市内の歴史スポットをあまり巡れなかったのが心残りなので再訪したいところ。幼少期以来になる比叡山へも是非行ってみたい。

イケフェス大阪は通常だと平日のみ開館の企業ミュージアムを回るのに専念したことで、建築を楽しむことがあまりできなかったのが残念。道修町ミュージアムストリートの医薬系博物館も数ヶ所まだ行けていないし。平日のみ開館と要予約という2つの点で企業系博物館へ行くのを尻込みしているが、関西だけでもまだまだ行っていない場所が多いのでどうにかして行きたいところ。今気になっている展示は中之島のすぐ近くで同時開催されている具体展か。あちこちでやっている三好長慶展も少し興味がある。

 

 

10月に読んだ本まとめ

 

朱白あおい『結城友奈は勇者である 勇者史外典』上下
河﨑秋子『颶風の王』
津村節子『紅色のあじさい 津村節子 自選作品集』

『海洋へのいざない第2版』
五十嵐太郎『誰のための排除アート? 不寛容と自己責任論』
井上奈奈『星に絵本を繋ぐ』
越前敏弥、金原瑞人三辺律子白石朗、芹澤恵、ないとうふみこ『はじめて読む!海外文学ブックガイド 人気翻訳家が勧める、世界が広がる48冊』
佐藤和哉 『〈読む〉という冒険 イギリス児童文学の森へ』
高階秀爾千足伸行石鍋真澄『〈西洋美術史を学ぶ〉ということ』
カルヴィン・トムキンズ『優雅な生活が最高の復讐である』
カトリーン・マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』
ジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』
稙田誠『寺社焼き討ち 狙われた聖域・神々・本尊』

荻田泰永『PIHOTEK  北極を風と歩く』
ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ『戦争が町にやってくる』

 

 

大学で中世の僧兵について少し勉強していたのもあり、稙田誠『寺社焼き討ち』をようやく読めたのが嬉しかった。日本の中世の民衆に見られる、宗教への敬虔な信仰態度と、それに反するような行為言動。神仏を敬い恐れる一方で、寺社の焼き討ちや神仏をけなすこともあった。豊富な事例を分析することで、史料では直接的に見えづらい中世人の宗教的な葛藤や精神を解き明かそうとした一冊。寺社焼き討ちに至る際の様々な方便が面白い。寺社の焼き討ちは園城寺延暦寺の抗争が初期の事例だが、武士ではなく宗教勢力から焼き討ちし史が始まっており、事例を読んでいく限り武士以上に宗教勢力の方が方便の蓄積面でも焼き討ち思想が見えるのが興味深い。個人的な興味は人対神よりは人対人であり、殺生戒ある宗教者の武装や戦闘意識の方を考えてみたい。少し手を出しづらいが、同著者の『中世の寺社焼き討ちと神仏冒涜』もいつかチャレンジしたいところ。