4月に行った展覧会まとめ
狭山池博物館 土木遺産展-水をはこぶー
阪急うめだ本店 六花亭と農民画家 坂本直行
大阪大谷大学博物館 椿井文書をめぐる人々 ―拡散する偽文書―
国立文楽劇場資料展示室 国立劇場所蔵 上方浮世絵展
阪急うめだ本店 POP&STREET AN ANNUAL 2023
今月は出不精気味だった。大阪大谷大学博物館の椿井文書の展示と国立文楽劇場での上方浮世絵展が面白かった。前者は偽文書として有名な文書に関する展示。江戸時代創作の文書ながら中世に作成されたという体を取っており、家系図などにとどまらず縁のある寺院の絵図まで作っていたのが印象的だった。作成した家系図により、同じ椿井一族の中でも別の家の当主が家に伝わる情報との相違に困惑していたのが面白い。国立文楽劇場での上方浮世絵展は、国立劇場が所蔵する浮世絵の展示で、よくある歌舞伎の浮世絵の中に人形浄瑠璃の絵があったのが特に興味深かった。人形浄瑠璃の浮世絵を目にしたのは初めてだ。役者絵の隆盛に見える現代的な「推し」という視点は、早稲田大学の演劇博物館で現在やっている推し活!展の背景となっているはずで、行けるならそちらの展示も見てみたい。
4月に読んだ本まとめ
井戸川射子『この世の喜びよ』
ジュゼッペ・トルナトーレ『鑑定士と顔のない依頼人』
日比野コレコ『ビューティフルからビューティフルへ』
八木詠美『休館日の彼女たち』
八木詠美『空芯手帳』
猪谷千香『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』
小泉悠『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』
原田マハ『CONTACT ART 原田マハの名画鑑賞術』
牟田都子『文にあたる』
気になっていた小説を何冊か読んだが、図書館で借りた本も読みたい本リストもオススメされた本もまだまだ残っているし、おそらく全部読み切る日は来ない。パワーワードが飛び交う『ビューティフルからビューティフルへ』が登場人物の救われなさの一方で言葉のエネルギーというか生命力が読んでいて印象的だった。博物館のヴィーナス像とラテン語で話すアルバイトという設定に惹かれて読み始めた『休館日の彼女たち』は色々想像が広がりそうな話だった。日常言語じゃないからこそできる会話や、社会で生きる中で纏うレインコートの話も興味深かったが、美術品が晒される視線を考えさせられる話でもあり、美術館や博物館に日常的に行く身として面白かった。展示される美術品が意識を持っているとしたら何を考えるのだろう。作中で少しだけ出てくる、時代を重ねた美術品たちが語る番組は聴いてみたい。