12月のまとめ

12月に行った展覧会のまとめ

 

大丸心斎橋店 Osaka Metroと大丸のむかし展
大阪科学技術館 まもなく開催!2025年大阪・関西万博~2025年大阪・関西万博で出会う技術と1970年大阪万博
大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方 『What is 上方演芸?』~上方演芸って何だろう?~
大阪中之島美術館 Osaka Directory 5 supported by RICHARD MILLE 肥後亮祐
大阪大学中之島芸術センター ヤスキチ・ムラカミの世界展 ~オーストラリアに生きた写真家・実業家・発明家~
大阪府中之島図書館 博覧会の展覧会Part4 さらなる人類の進歩と調和~いのち輝く未来社会~
阪急うめだ本店 大宮エリー展 A Wonderful Garden 8つのお庭がある展覧会
阪急うめだ本店 NEW YORKアート PART2「五人のコンテンポラリーアーティスト達」

 

 

存在を知りつつもそれぞれの理由から二の足を踏んでいた3つの施設に重い腰を上げて初めて行ってきた。1つ目は靭公園の隣にある大阪科学技術館。よく行く中之島とは肥後橋駅を起点に反対側にあって中之島から梅田へ向かうルートを取ると周りづらく、施設案内を見るだけでも展示量がそこそこあって時間が掛かりそうなので敬遠していた。実際に行ってみると、子ども向けのゲームや体験展示が多く、解説の文字情報自体は必ずしも多くは無く、全力で遊びまわる気も無かったので存外時間は掛からなかった。この施設は企業や研究機関がブースを設け、各ブースで業務と絡めた技術や科学について解説していくミュージアムであり、ゲームで遊ばなくてもそういう技術に興味があれば大人でも楽しめると思う。子連れの来館者が多い中、大人独りで来ていた人が他にいなかったのは残念だ。ワイヤレス充電についての解説とリズムゲームっぽいゲームを出展していたダイヘンと、関西暮らしだと意識する関西電気保安協会が記憶に残る。

2つ目はなんばグランド花月の向かいの建物に入るワッハ上方。テレビをあまり観ないし漫才に興味も無いため、難波には比較的よく行く割に足を向けることは無かったが、無料だし一回ぐらいは行ってみようと思い立って行くことにした。懐かしポスターにも上方演芸の歴史にもあまり惹かれずざっと見るだけで終わったが、常設展示のメインが大阪弁の解説だったのでそこは興味深く読んだ。使う表現、周りにいる人によっては使う表現、わかるが使わない表現、わかるがそういえば身の回りで見ない表現など、それぞれの言い回しについて自分の感覚を照らし合わせて考えていくのは面白かった。企画展は「上方演芸とは何か」をジャンルごとに解説していく展示で、門外漢に優しい内容だったのもちょうど良かったかもしれない。

3つ目は国立国会図書館関西館。ずっと行こう行こうと思いつつ、如何せん立地が微妙でどこかに行った後に足を延ばしづらくて行けていなかった。何かを調べる際に国立国会図書館のデジタルコレクションは有用で、個人送信が昨年始まって家からの調べ物がより便利になったため、去年の夏に個人登録をしようとした。しかし、昔作ったIDがまだ有効で仮登録までしかできず、その旧IDもパスワードがわからずメールアドレスを設定していなくて再設定も面倒そうだったため(当時は登録時にアドレスが不要だったらしい)、関西館まで行ってIDをどうにか有効にすることは去年からの懸案事項だった。中央線の行き先として目にする近鉄学研奈良登美ヶ丘駅まで乗り、そこから歩いて関西館へ。特に店なども見当たらない北側の出口から歩き出し、緑が目に映る道路沿いを歩いていくと気づけば住宅街に入っていて、さらに進んでいくとデカい建物と車線の増えた道路にぶつかった。右折して何かしらの研究所を横目に少し歩いて目的地に到着。途中から飲食店がこれでもかと立ち並んでいたのが印象的だった。肝心のID問題は、昔のIDの有効期限が切れており、去年の仮登録を本登録にするだけで済んであっさりと解決。折角来たので、データベースでいくつか調べ物をするも成果は大して無く、今後も利用するだろうから開架資料の棚をざっと眺めて周った。事典や辞書などの参考図書だけでなく、教科書系の概説書やガイドブック類が開架なのが便利で、調べ物を持ち込まなくてもずっと本を読み続けて時間を過ごせそうだった。飲食店事情も永田町にある東京の本館よりは明らかに便利なため通って籠りたい……が、アクセスしづらいのはどうしようもない。閉架資料も使わずに館内をざっと周っただけで退館したので、また来たるべき時に有効活用したい。

 

 

12月に読んだ本のまとめ

 

彩月レイ『勇者症候群』1~2巻
千葉雅也『エレクトリック』
津島佑子半減期を祝って』

浅川満彦『野生動物医学への挑戦 寄生虫感染症・ワンヘルス』
宇野重規『近代日本の「知」を考える。 西と東との往来』
岡本亮輔『創造論者vs.無神論者 宗教と科学の百年戦争
鈴木透『スポ-ツ国家アメリカ』
竹端寛『ケアしケアされ、生きていく』
奈倉有里、逢坂冬馬『文学キョーダイ!!』
ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学
山田七絵編『世界珍食紀行』
ティムラズ・レジャバ、ダヴィド・ゴギナシュヴィリ『大使が語るジョージア 観光・歴史・文化・グルメ』

 

 

法獣医学マンガの『ラストカルテ』を読んで野生動物の医療に興味が湧き、関連する書籍が無いかと図書館を巡っていたら『野生動物医学への挑戦』を見つけたので借りて読んだ。あとがきを読むまで気づかなかったが、表紙絵は『ラストカルテ』の作者が手掛けている。寄生虫への興味から獣医学の道に進み、寄生虫感染症研究を専門としつつ野生動物医学へと手を広げていくこととなった著者自身の体験を基に、寄生虫や野生動物の感染症、野生動物医学について解説した一冊。目黒寄生虫館に何度か行った程度しか寄生虫に興味は無く、延々と症例の解説が続く所はあまり関心を持てずにさっと流してしまったが、著者の体験談や脇道にそれた雑談が方々で挟まれ、門外漢にも優しい硬すぎない筆致で最後まで読み切れた。後に『野生動物の法獣医学』という『ラストカルテ』の内容により直接関わる書籍を知る。こちらも読もうかな。

読みやすさという点では、今月末に読み終えた『創造論者vs.無神論者』も刺激的で一気に読めた面白本だった。欧米での宗教の信仰と科学思想との戦いの模様を描いた一冊。章タイトルや小見出しを含め幾分センセーショナルな書きぶりをしているだけではなく、来歴などを示すことで抽象的な議論の戦いよりも個々の人間のドラマとして読んでいけて読みやすかった。マラドーナ教会やスパモン教など現代のパロディ宗教、スコープス裁判にインテリジェント・デザイン論、議論の前提を変えた新無神論者、科学と宗教の中道を行く思想。聖書世界観の疑似科学として対岸の火事と笑えるだけの話ではなく、宗教的な信仰と科学者としての世界認識にどう折り合いをつけていくかという論点として興味深かった。