5月に行った展覧会まとめ
兵庫県立美術館 恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造
兵庫県立美術館 虚実のあわい
大阪くらしの今昔館 五井金水とゆかりの画家たち-船場で愛された絵師の画房から-
大阪コリアタウン歴史資料館
泉北髙島屋 藤城清治版画展~生きるよろこび~
大阪大学中之島芸術センター アートトリップ・ナカノシマ——モダン中之島コレクション・アネックス
今月はあまり行ったことの無かった場所にいくつか行ってみた。先月末にオープンした大阪コリアタウン歴史資料館に行くついでに鶴橋のコリアタウンを歩いた。鶴橋駅で降りたのは初めてだが、駅から繋がった商店街にお店がかなりあり、その長さに驚く。閑散としている駅前商店街を見ることが日常で多かっただけに、帰る時に駅に辿り着くのに苦労する程に商店街が盛り上がっていることが新鮮だった。駅からやや距離のある資料館まで歩き、小ぢんまりとした資料館で知識を積んだ後にそのままコリアタウンへ。駅前や大通りを歩いていても韓国関連のお店が目に付いたが、コリアタウンの通りはそこだけ空気が違っていた。キンパなど売られている物も、角にトルハルバンなどが立つ風景も、歩いてる人の賑わいも。一本の通りだが特別な空気をまとったその感じは、昔少しだけ歩いたことのある竹下通りを思い出した。独りで楽しむには韓国グルメへの興味があまり無く、天気も不安定だったので空気を味わうだけで通りを抜け、大通りに接続する末の辺りにあった御幸森天神宮に入った。時代と共に歩んだ人の熱を感じる展示を資料館で見たものの、一番興味を持って見てみたいと思ったのはこの神社にある百済から渡来した王仁の歌碑だった。万葉仮名・古今和歌集の仮名・ハングルの3つで難波津の歌が刻まれた碑。そういえば、竹下通りも近くに神社があったなと思い出した。
展覧会では告知段階からずっと行きたいと思っていた恐竜図鑑展に行けたことが何より嬉しかった。恐竜という主題とは別にイメージ像の変遷というテーマ自体に興味があり、展示図録までつい買ってしまった。泉ケ丘駅近くの大蓮公園で原寸大複製された須恵器の生産遺跡を見たり、大阪大学中之島芸術センターでは適塾版『テュルプ博士の解剖学講義』を見たりと、新規開拓した場所は他にも興味深かった。
今行きたい施設は、コロナでずっと休館状態だったが最近再開した少彦名神社のくすりの道修町資料館。平日のみ開館(土曜は要予約)で16時閉館だが、道修町ミュージアムストリートの中で行きそびれている施設で、都合のつく時に行きたいところ。
5月に読んだ本まとめ
マーニー・ジョレンビー『こんばんは、太陽の塔』
高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』
高山羽根子『パレードのシステム』
竹町『スパイ教室短編集』4巻
玉岡かおる『われ去りしとも 美は朽ちず』
久保勇貴『ワンルームから宇宙をのぞく』
斎藤兆史『英語達人列伝II』
カロリーヌ・フレスト『「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード』
南塚信吾、小谷汪之、木畑洋一編『歴史はなぜ必要なのか 「脱歴史時代」へのメッセージ』
文化盗用を掲げ、あらゆる文化が検閲されていく欧米社会に関して綴ったエッセイの『「傷つきました」戦争』が衝撃的だった。行き過ぎたポリコレについて複数の事例から論じている一冊。日本趣味の娘の誕生会が炎上した事例。オタワ大学でヨガのレッスンが文化盗用として批判された事例。反レイシズム作品が反レイシズムの下で非難された事例。アイデンティティ批判の目的で、別の視点でのレイシズム発言が行われていく。実際は極端な事例ばかりではなく、批判者側にもそれぞれの話があり、この一冊だけで状況をわかった気にはなれないが、純粋さを突き詰めた先にそれが攻撃となって検閲となって抑圧していくことには抵抗感がある。