12月のまとめ

12月に行った展覧会まとめ

 

狭山池博物館 大阪狭山市の歴史文化遺産 今に伝わる地域のたからもの
狭山池博物館 令和4年度選奨土木遺産パネル展
堺市博物館 堺と武将 三好一族の足跡
箕面市立郷土資料館 カフェーパウリスタ箕面
大阪大学総合学術博物館 MOU収蔵品展-創立からもう20年-
大阪府中之島図書館 文化庁メディア芸術祭大阪中之島
ジーストア大阪 ドキドキ★ビジュアル★展覧会2022
河内長野市立ふるさと歴史学習館 皇女八条院の庭~中世が息づく高向~

 

 

会期の終わりが迫る中、阪大博物館の展覧会と中之島図書館の文化庁メディア芸術祭に行けたのが嬉しかった。阪大博物館の収蔵品展では、普段表に出ていない絵画や演劇関連資料が展示され、大学博物館が持つ資料の幅を感じられたのが興味深かった。学生が組み立てた展覧会を目にした経験がほとんど無かったため、博物館実習などの講義での作成チラシや、その際の展示資料が展示されていたのも面白かった。そういうタイプの展示を今まで見ようとは思わなかったが、その館が持っている物から何を選んで見せようとするかの過程の中で、普段見ないような物が見られるかもしれない。

文化庁メディア芸術祭中之島展は、大阪という場で文化庁メディア芸術祭の受賞作品が見られる事実だけで喜んでしまった。東京に居た頃に目にした作品が多く、目の前にある現在の展示という文脈では無く、その作品から想起される思い出に浸る時間を過ごしてしまった。大阪という文脈からのテーマごとの展示だったが、こじつけのように感じる作品もいくつかあり、新鮮さも納得感もそこまで感じなかったのだと思う。文化庁メディア芸術祭も終わってしまったが、個人的には自分の手の届く中に無かった物を知ることができる貴重な場だったとは思う。バンド・デシネやグラフィックノベルといった海外マンガを漁って読むきっかけになっただけで十分意味はあった。

大阪内での展覧会を探していた去年より、少しだけ行動範囲が拡がった一年だった。来年もよろしくお願いします。

 

 

12月に読んだ本まとめ

 

岩城けいさようなら、オレンジ
河﨑秋子『清浄島』
グレゴリー・ケズナジャット『鴨川ランナー』
澤大知『眼球達磨式』
竹町『スパイ教室短編集』3巻

及川順『非科学主義信仰 揺れるアメリカ社会の現場から』
鎌田真弓編『大学的オーストラリアガイド こだわりの歩き方』
鎌田雄一郎『雷神と心が読めるヘンなタネ こどものためのゲーム理論
オリガ・グレベンニク『戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々』
佐藤圭一、冨田武照、松本瑠偉『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか? サメ博士たちの好奇心まみれな毎日』
奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』

 

 

オーストラリアの大都市の多くに河川が流れている地理的な話に興味を惹かれ、Googleマップで確認しながら『大学的オーストラリアガイド』は一気に読み終えてしまった。そこから岩城けいの小説を読んでオーストラリア熱は一旦治まり、読みたかった本を読んでいった。

礼文島エキノコックスと戦った研究者を描く小説の『清浄島』と、水族館における研究の側面を取り上げた『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?』が、それぞれ研究者の異なる側面を描いていて興味深かった。道立衛生研究所の研究者として、外からの来訪者の立場として離島社会に入り、公僕としての役目を果たそうとする『清浄島』。研究者でありながら公務員として、残酷な業務でも果たさなければならなかったり、地域に根を下ろさない公務員として地域で根回しをしたりする描写が印象的だった。『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?』は、世間的にエンタメ評価の勝りそうな水族館で、飼育する生き物の論文を執筆して発表していくことの意義が述べられていた。調査や観察の難しい海洋生物という研究対象に対し、年中観察できるという水族館故の強み。研究をしている水族館だからこそできる、ありきたりではない情報の展示。映える水族館が話題になる一方で、多忙な水族館職員であっても研究者として生きることの大切さが強調されていたのが心に残っている。