1月のまとめ

1月に行った展覧会のまとめ

 

ジーストア大阪    イースX展
髙島屋史料館 全身画家 高波壮太郎-見るもの、見えるもの、見えないものを描く-
奈良県立美術館 漂泊の画家 不染鉄
京都国際マンガミュージアム アフリカマンガ展-Comics in Francophone Africa-
京都国際マンガミュージアム こどものぜいたく、別冊付録だーい!
京都蔦屋書店 鬼頭健吾「Triangulum」
京都蔦屋書店 大和美緒個展「今日⽣きることを 選びつづける私たちへ」
狭山池博物館 1970大阪万博狭山ニュータウンの時代
大阪大学総合学術博物館 ちんどん屋―宣伝・広告に活きるハブ(集積/中継/交流)芸能―
池田市立歴史民俗資料館    ちょっと昔のくらしの道具
逸翁美術館 The コレクター逸翁~その収集に理由アリ~
落語みゅーじあむ    
堺市立みはら歴史博物館

 

 

気になっていた阪大博物館のチンドン屋展のついでに、池田駅を起点に市内のミュージアムをぐるっと巡った。昨年の文化の日にIKEDA文化DAYという池田駅近辺の文化施設を周るウォークラリーの案内を見て以来、一日で色々な施設を体験できそうだと機会をうかがっていたところ、石橋阪大前駅の隣が池田駅と行きやすかったのでセットで周ることにした。IKEDA文化DAYは逸翁美術館小林一三記念館が無料となる日のため、文化の日が近づく頃にまた思い出したい。

まずは阪大博物館のチンドン屋展。全体は4ブロックに分かれており、最初のブロックはチンドン屋の楽器が初っ端に展示され、チンドン屋はどのような活動をしているかとその歴史と系譜の解説パネルが置かれていた。チンドン屋自体を知らずにこの展示を見ようと思う人は少なそうだが、ここで映像を流したりイラストや写真を多く展示したりしてチンドン屋がどういう物かをもっと具体的に説明した方が良い気がする。次のブロックでは、明治~昭和期に商品の宣伝のため企業が楽隊を編成して街中で行った宣伝活動について、社史の紙面や写真からいくつもの例を挙げて説明していた。近代の広告史や企業PR史として興味深く見た。3つ目のブロックではチンドン屋の派手な衣装や道具をメインに展示していたほか、待望のチンドン屋の映像展示がようやくあった。子どもをおぶった男性の、子どもと男性のどちらが人形かがわからないように動く「人形ぶり」という芸に驚嘆した。背中におぶさった子どもの方が人間だと思うが、男性の手や足の滑らかな動きにどちらが人形かをしばらく考えてしまった。最後のブロックはチンドン屋博覧会など現代でも行われている大会の資料とその映像の展示。現代でもチンドン屋として活動している方はいるらしい。展示を見終わって出ようとしたところで、最初のブロックの壁に、本展のためにチンドン屋の方が書いた布に記されたメッセージがあることに気づく。このメッセージにせよ途中の道具にせよ、カチッとした企業資料の展示パート以外からは手作り感のような物を感じた。手作り感の親しみやすさもチンドン屋らしさなのかもしれない。

池田駅は改札を出てすぐにインフォメーションコーナーがある。マンホールカードと池田駅近辺の地図を貰って北口から歩き始めた。まずは地図に無くて少し離れた場所にある歴史民俗資料館へ。駅から坂を上っていき、逸翁美術館と池田文庫の案内を右折してしばらく歩き、ようやく着いたと思ったら階段があって息を切らしつつ到着。企画展は昔の道具展で、昭和期の家具などが展示されていた。この時期は他の館も昔の道具展をよくやっている印象がある。一部屋だけの企画展と常設展の池田市の歴史をざっと見て資料館を出た。事前に観光スポットを探して知った呉服神社の話とかを読みたかったが見当たらなかった。

来た道を引き返して逸翁美術館へ。実業家の小林一三のコレクションを展示している美術館で、以前に一回だけ来たことがある。今回の企画展は小林一三のコレクターとしての側面を前面に出した展覧会として注目していた。コレクションの始まりと言える美術品から、古物商から購入したり、色々な人から贈られたり、縁あって手許に転がり込んできたりと様々な縁で集まった古美術品が、その蒐集エピソードと共に展示されていて、コレクターのコレクション形成過程を楽しめる展示だった。小林一三の人脈はやはり強い。それぞれ優品とは思うが、どうしてもキャプションのエピソードを読むことに集中して作品自体を堪能しきれなかった。宝塚歌劇団の周年記念茶会で、かつて作曲した曲の楽譜をあしらった茶器を意気揚々と持ち込むも、誰にも理解されずに寂しい想いをしたエピソードには笑ってしまった。

昔訪れた小林一三記念館は見送り、上方落語の資料を展示する落語みゅーじあむへ。落語を演っている映像が施設に入るなり目に留まり、チンドン屋展も入口にこういうのがあると良かったのではと改めて感じた。池田にまつわる落語の解説パネルと落語を流す複数のモニター、奥の高座以外はあまり解説展示は無かった。2階で落語のDVDなどを視聴できたが、館内をざっと周って早々に建物を出た。すぐ近くにある大衆劇場の池田呉服座の入口付近のにぎわいを見ながら、池田駅へ戻る道を歩き出した。

池田市内にはカップヌードルミュージアムダイハツのヒューモビリティワールドという2つの企業博物館があるがどちらも休館中だったので残念ながら行けず。逸翁美術館はまた行く日が来そうなので、その時に併せて周れるといい。

 

 

1月に読んだ本のまとめ

 

川越宗一『福音列車』
河﨑秋子『ともぐい』
二月公『声優ラジオのウラオモテ』9巻
李琴峰『肉を脱ぐ』

井奥陽子『近代美学入門』
熊本大学文学部編『大学的熊本ガイド こだわりの歩き方』
東京国立博物館編『ミュージアムヒストリー 東京国立博物館―150年のあゆみ―』
平体由美 『病が分断するアメリカ 公衆衛生と「自由」のジレンマ』
宮﨑浩一、西岡真由美『男性の性暴力被害』
安田峰俊『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』

 

 

好きな作家としていくつか作品を読んでいた河﨑秋子が直木賞を受賞した。芥川賞直木賞も受賞が決まってから作者や作品を知っていくことが多い中で、比較的作品を読んでいる作家が直木賞を獲る場面を目にするのはあまり無く、受賞者を聞いて嬉しいと感じたのもおそらく初めてだった。北海道の近代史や動物の生死といった題材もだが、ある種ドライに淡々と描かれていく人間模様が好きなんだと思う。『ともぐい』も猟師の動物との対決だけを描いて終わらず、動物的な生を送る猟師が猟師でいられなくなってからの生活が描かれているのが印象的だった。『肉弾』や『絞め殺しの樹』など読んでいない作品にも手を出していこう。

月の後半に読んだ『肉を脱ぐ』は舞台設定が面白かった。人として生まれて体を持ってしまった以上、人間の生活は食べたり排泄したりと肉体のケアを続けなければならない。体に縛られるこのような生を厭わしく感じる女性が、作品名と名前があるだけで肉体を伴わない小説家として成功したいと切望するも、ペンネームと同名のVTuberがバズったことで観測できるネット世界での居場所を失っていくというあらすじ。現実の体の制約とは別の場所で活動するVTuberという存在と、主人公が煩わしく感じる体をむしろ望んでいる性別違和の女性。体にまつわる生への煩わしさを描く中で、VTuberLGBTを持ってきたのが興味深かった。配信画面の僅かな映り込みから自社イベントのノベルティと確信し、欲しいものリストで送った物の配達先から住んでいる地域を特定し、社内データベースからVTuberの中の人を特定して住所まで実際に行く主人公の行動力と特定力は恐ろしい。