5月のまとめ

5月に行った展覧会まとめ

 

 

 

 

昨年の5月もどこにも行かなかったが、今年もどこにも行かなかった。緊急事態宣言の延長が発表されるまでは、大阪市立美術館の「豊臣の美術」展に行けることを期待していたが、あえなく頓挫。宣言の延長もあり、大阪府下で開館している美術館・博物館はそもそもほとんど無かった。大阪府の外に出て、奈良県立美術館の髙島野十郎展に行こうと企むも、こちらも宣言の延長のタイミングで休館に入ってしまった。特別観覧日が3日間だけ設けられるというありがたい話に気づいたのは、ちょうど特別観覧日最終日の翌日だった。無念。

再度の宣言延長で、6月20日までは少なくとも緊急事態が続く。美術館や百貨店も休業要請の緩和する措置に変わったものの、確認した限りでは大阪府下の美術館・博物館で開館に転じた施設は次の通り。5月の間も開いていていた、中之島香雪美術館、湯木美術館、小林美術館、司馬遼太郎記念館に加え、6月1日からは逸翁美術館、正木美術館、あべのハルカス美術館(平日のみ)、スキュルチュール江坂(平日のみ)、大阪企業家ミュージアム(火~金のみ)、6月2日からは絹谷幸二 天空美術館(平日のみ)、6月3日からは高島屋史料館、6月4日からはモリムラ@ミュージアムが開館するようになるらしい。他には関西大学博物館も月・水・金は開いている模様。行ったことの無い場所が多いため、どこかしら来月に行くかもしれない。

 

 

5月に読んだ本まとめ

 

一色さゆり『飛石を渡れば』
ティーヴン・クレイン『勇気の赤い勲章』

川添愛『ヒトの言葉 機械の言葉 「人工知能と話す」以前の言語学
ウスビ・サコ『アフリカ人学長、京都修行中』
塚本康浩『ダチョウはアホだが役に立つ』
鳥居徳敏『よみがえる天才6 ガウディ』
初田哲男、大隅良典、隠岐さや香『「役に立たない」研究の未来』
古矢旬『グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 シリーズアメリカ合衆国史④』
ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け―ハマータウンのおっさんたち』
森岡裕一『アメリカ文化のサプリメント―多面国家のイメージと現実―』

ジョン・マーズデン『ウサギ』

 

緊急事態宣言で休館中ながら、予約資料の受け取りはできるので、新しく入った資料を確認しては予約、受け取りをしていると積読の消化はいまいち進まなかった。読書モチベすらも薄れていって、そもそもあまり本を読めていなかったのもある。今月で印象に残ったのは『勇気の赤い勲章』だろうか。英雄的活躍を夢見て南北戦争に従軍した若者が戦争のリアルを知って思想が変わっていく。これだけ書くと味気ないが、指揮官など上の立場から見た戦況などはほとんど描かれず、徹底的に前線の一兵士の目線から戦争が描かれており、戦場の混乱、それに直面した若者の心理がどんどん揺れ動いて変化していく様子が、豊富な比喩と共に生々しく描かれている。南北戦争ということが窺える戦場の要素は兵士の服の色ぐらいで、マスケット銃時代の「人」の戦争の痛みや混乱が感じられる小説だった。

4月のまとめ

 3度目となった緊急事態宣言。3度目として回数積んだ分だけ対応策も変わっていくだろうかと願っていたら、慌ただしく図書館も博物館も臨時休館に入ってしまった。宣言下でも開館している東京のいくつかの図書館に一抹の羨ましさを感じるものの、散歩で足を動かす日を取って積読を消化していく日々にしていこう。

 

 

 

4月に行った展覧会まとめ

 

大阪髙島屋 岸野承展
国立文楽劇場資料展示室 文楽の景色
大丸心斎橋店 ~多くの作家に愛された~「猫・ネコ・ねこ展」
大丸心斎橋店 鈴木祥太金属造形展-四季の移ろい-
大阪大谷大学博物館 拓本でみる 津浪教訓碑の語り
堺市博物館 海を越えたつながり-倭の五王と東アジア-

 

 

後半は宣言の影響でどこも閉まっていて、その少し前ぐらいから県を越えることを自粛したこともあり、今月は大して行けず。楽しみにしていた平成美術展も京都まで行くことを避けた結果、行くこと叶わず。これに関しては1年前の事態から学ばなかったのも悪い。今月の収穫は国立文楽劇場の資料室で展示をやっていることを知ったこと。次回展示は当分先だろうが、無料で展示を鑑賞できる場所は覚えておきたい。展示として興味深かったのは堺市博物館の展示。朝鮮半島の古墳と国内の古墳の類似した出土品から、双方影響を与え合っていた古代交流の姿を感じた。東京に居る時は古墳にあまり興味が無かったが、大阪で古墳系の展示を目にすることが増えると、埴輪などもじっくり見ると面白い気がしている。5月11日までの宣言が延びないことを願いたい。

 

 

4月に読んだ本まとめ

 

マグダ・オランデール=ラフォン『四つの小さなパン切れ』
鏡征爾『雪の名前はカレンシリーズ』
トルストイ『クロイツェル・ソナタ 悪魔』

『海を渡ったニッポンの家具 豪華絢爛仰天手仕事』
上田麻由子『2.5次元クロニクル2017-2020―合わせ鏡のプラネタリウム
上野庸平『ルポアフリカに進出する日本の新宗教
貴堂嘉之南北戦争の時代 19世紀 シリーズアメリカ合衆国史②』
中野耕太郎『20世紀アメリカの夢 世紀転換期から一九七〇年代 シリーズアメリカ合衆国史③』
ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』
リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX
歴史学研究会編『コロナの時代の歴史学
和田光弘『植民地から建国へ 19世紀初頭まで シリーズアメリカ合衆国史①』

 

 

図書館に行くといつも美術系の棚に引き寄せられがちなので、最近は敢えて避けることが増えた。不勉強で基礎体力をつけるために読みたい書籍も少なくはないが、少しでも目に入ってくるものを増やしていきたい。その点で今月読んで何かしら広がった感じがするのは『ルポアフリカに進出する日本の新宗教』と『NO RULES』。前者については、アフリカ人の気質に新興宗教の教義が噛み合って信者を得ているという話は面白かったし、信仰を持って生きることについて考えさせられた。後者では、NETFLIXの超実力主義な企業文化に共感しきれる訳では無いけれども、意識的な行動改善などの面では活かせることもあるかなと。

まだあまり読めていないものの、雑誌『idea』の海外マンガ特集号を購入し、海外マンガをもっと読みたいという欲求が増している。この雑誌を読んだからではないが、今月はアーロン・マッグルーダーの『ブーンドックス』を読んだ。BLMが盛り上がってきた近年から見ると、20年前の感覚として一つ興味深い物なのかもしれない。

3月のまとめ

 月末になって大阪府の感染者数が増大してきて、また自粛ムードが前面に出てこないか危惧している。会期中に京セラ美術館の平成美術展に行きたいが、それまでに行けなくなる状態にならないことを祈る。

 

 

 

3月に行った展覧会まとめ

 

大阪府立近つ飛鳥博物館 南河内の古代寺院と造営氏族
大阪府立狭山池博物館 土木遺産展-トンネル めぐり-
Gallery IYN 蒼喬個展『蒼き脈の面影』
心斎橋PARCO 最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。
北御堂ミュージアム
ジーストア大阪 サンデーGX創刊20周年記念展
大阪髙島屋 志水堅二展-舞利鳥色鳥々-
大阪市立美術館 ニッポンのかがやき 本朝金属工芸
大阪市立美術館 花咲くやきものREVIVAL!
大阪市立美術館 宮人たちへの鎮魂歌―隋の石刻
髙島屋史料館 愉快な「まち」をつくる
南海ホークスメモリアルギャラリー
心斎橋PARCO DMOARTS group show “In between”
とらのあななんば店A あやみ個展『ぼくの彼女2』

 

 

初めて行った博物館で面白い所が多かった。大阪府立近つ飛鳥博物館での古墳時代の出土品展示に、髙島屋史料館での百貨店と美術の結びつきを感じさせる展示。企画展で面白かったのは狭山池博物館のトンネル展。ほぼ何も知らない状態で展示を見たが、多少はトンネルについて学ぶことができ、その構造物としての美しさを感じられた。読みやすさはともかく展示図録が120円と格安なのもありがたい。蒼喬個展や最果タヒ展など、ぜひとも行きたいと思っていた展示を見に行けたのも嬉しい。

 

 

3月に読んだ本まとめ

 

サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』
ブルース・チャトウィン『ウッツ男爵 ある蒐集家の物語』
長月達平『戦翼のシグルドリーヴァ Sakura』下
二月公『声優ラジオのウラオモテ』4巻
保坂歩『夜廻』
牧野圭祐『月とライカと吸血姫』2~5巻

池上俊一『森と山と川でたどるドイツ史』
江尻勝『DeToNatorは革命を起こさない』
川田伸一郎『アラン・オーストンの標本ラベル』
芸術新聞社編『驚異の静物画 ホキ美術館コレクション』
田中正之監修解説『アメリカ美術叢書Ⅰ 創られる歴史、発見される風景』
沼野雄司『現代音楽史
姫川榴弾『信長名鑑』
不染鉄『不染鉄之画集』
ボムアラム『夢を描く女性たち イラスト偉人伝』
丸山宗利、吉田攻一郎、法師人響『驚異の標本箱-昆虫-』
宮下規久朗『美術の力』
梁英聖『レイシズムとは何か』

レベッカ・ソルニット『シンデレラ 自由をよぶひと』

 

 

読むんだと意識しないとあまり小説に手を出さないことに気づく。東京にいた頃と図書館事情が変わってしまったことが一因だが、新書なりを読んで漠然と知識みたいな物が増えた感覚を得る魅力に囚われてしまった。実際にどの程度後に残っていくか疑わしいけれど。視野を広げる点では『レイシズムとは何か』が興味深く、現代の社会思想とのかかわりという点でレベッカ・ソルニットの『シンデレラ』は如何にも現代アレンジのシンデレラだなと面白く読んだ。

2月のまとめ

 2月ももう終わりという感覚が無くて、日付が変わるまで書くのを放置していた。緊急事態宣言が解除されたものの、これからどうなっていくやら。京都府に色々と見に行きたい展覧会は多いが、行く余裕はあるのだろうか。

 

 

 

2月に行った展覧会まとめ

 

心斎橋PARCO ながいゆい個展『ニューノーマルなことり男子 in 心斎橋』
心斎橋PARCO SAIKO OTAKE EXHIBITION "GALAGALAGALA"
エスパスルイ・ヴィトン大阪 Fragments of a landscape
ジーストア大阪 「おちこぼれフルーツタルト」展
さかい利晶の杜 髙林和作ーサバクに立つ画家の眼差しー
心斎橋PARCO 小澤雅志個展 『ARRANGEMENTS』
大阪髙島屋 21世紀空間思考展

 

 

行動範囲が狭い。その狭い行動圏にエスパスルイ・ヴィトンという新たなアートスペースがオープンしたのは喜ばしいが、もっと足を延ばす領域を広げていきたいところ。

 

 

2月に読んだ本まとめ

 

河野真太郎編『暗い世界 ウェールズ短編集』
二月公『声優ラジオのウラオモテ』3巻
森田季節『小説いまいち萌えない娘』
羽央えり『プロジェクト東京ドールズ Doll's Destiny』

石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』
岡田温司『西洋美術とレイシズム
春日太一『時代劇入門』
河出書房新社編『マンガがあるじゃないか わたしをつくったこの一冊』
佐藤信編『古代史講義』
高埜利彦編『近世史講義』
中村るい『ギリシャ美術史入門』
中村るい『ギリシャ美術史入門2』
ジェームス・M. バーダマン『アメリカ黒人史』
蓮實重彦『見るレッスン 映画史特別講義』

トーベン・クールマン『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』
トーベン・クールマン『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』
トーベン・クールマン『エジソン ネズミの海底大冒険』
エドワード・ゴーリー『金箔のコウモリ』

 

 

何かにすがるように、図書館で本を借りては読み借りては読みしていた。新書を読むことで自分の知識が増え、見えている場所が拡がっていくことを感じ、それを糧にまた読もうという動機が湧いてきていたが、月末はそのサイクルも壊れていった。興味範囲で視野は広がったかもしれないが、興味範囲自体はそれほど広がることも無く、読書をしたという結果だけ残って何か身になった物があるのだろうかと疑いたくなる。今後の目標としては、新書から一歩踏み出して本を読んでいき、小説をもう少し読んでいきたい。

暗い世界 ウェールズ短編集

 先月のまとめで書いたが、読んだ本、主に小説の感想を残していくことにした。読書体験のほとんどが図書館由来で、来館時に目についたものを気ままに借りては読んで返していくため、個々の読書を振り返りたくなった際に見返せる具体的な記録が欲しい。また、日常で文章を綴る経験値を積んでいきたい。都合よくブログをやっているので、たまに書いていこうと思うに至る。自分の記録が主目的ながら、興味がある方は拙文ながらお付き合いください。

 

 

 今回取り上げるのは、最近読んだ『暗い世界 ウェールズ短編集』(堀之内出版、2020)。その中でも表題作の『暗い世界』について、つらつらと書く。20ページ足らずの短編なので、内容には踏み込みます。

 人が亡くなった家を訪ねて回る、ジムとトマスの2人の少年の話。9人兄弟のジムは空腹を満たすために通夜で出されるおこぼれを狙っている。ジムより生活に余裕のあるトマスは、縁者のフリをして弔問客として振舞うお遊び感覚でジムに付き添っている。雨の中で3マイルも4マイルも歩いた果て、トマスは自分の家で働いていた女性が亡くなった家を訪ねてしまう。身近な存在の死を眼前に体感し、自らと隣り合わせに厳しい暗い世界が広がっていることを実感して、世界に対する憎しみを抱く。

 自分とは離れた世界だと思えていた厳しい現実が、ふとしたことで自分にのしかかってくる。コロナ禍によって、満たされていた状況から一挙に転落してしまった人も少なくないだろう。十分な食事の上で余暇を楽しめていた状況から、家賃を払うのもおぼつかなくなって空腹を満たせる程度にぎりぎりの食事を摂る状況へ。交通費をケチるために1駅、2駅と歩くようになり、自動販売機で飲み物を購入する金銭も惜しむ。さらにそれすらも危うくなる状況へと。そんな今のコロナ難の世界への実感として、この短編は自分の中に入ってきた。

 2人の少年が弔問客ごっこをするぐらい、作中の世界で死はありふれたこととして存在する。暗い世界が広がっていて、その中で人々は生きている。その中の一員と自覚して世界を引き裂きたい痛みを得て、その先を生きていく。広がる暗い世界という現実を知った先で、自分達は生きていかねばならないのだ。

 

 他に4編の短編が収録されている。ウェールズの歴史や文学史をきっちり押さえるのではなく、普遍的な面白さで作品を選んだとあとがきにあるように、いずれもウェールズという地の空気を感じさせつつ今の我々に響いてくる作品だった。ウェールズという地に興味がある人も無い人も、この一連の「暗い世界」を感じてほしい。

1月のまとめ

 年が明けてもう一月が経つ。遅ればせながら今年もよろしくお願いします。最近は月まとめしか書いていないが、今年は読んだ本の感想などもう少し色々書いていきたい。まあ年明け一発目の今回はやっぱり月まとめだが。

 

 

 

1月に行った展覧会まとめ

 

上方浮世絵館 罪と罰
心斎橋PARCO Shuntaro Takeuchi Solo Exhibition『JANET』
心斎橋PARCO "LAG-ED" EYƎ exhibition
大阪歴史博物館 蒐集家・高島唯峰―明治期考古学の遺産―
ピースおおさか大阪国際平和センター 生と死の間で ホロコーストユダヤ人救済の物語

 

 

緊急事態宣言が発令され、どうにも展覧会に行きづらい空気を感じる中、あまり回らなかったとはいえ何ヶ所か行った。ミュージアムぐるっとパス関西を先月に購入したので割引のある施設へ。ピースおおさかのホロコースト展が印象的。欧州各国の政情と共に、その中でもユダヤ人を救った人々を取り上げたパネル展示で、写真と共に文字がびしりと書かれた情報量の多いパネルが何枚も並んでいた。時間の都合で全部読み切れなかったが、展示内容をまとめた厚い小冊子をもらってきたので、機を見て読んでいきたい。

 

 

1月に読んだ本まとめ

 

鈴木哲也『学術書を読む』
ティエリー・ポイボー『機械翻訳 歴史・技術・産業』
宮津大輔『アート×テクノロジーの時代』
山極寿一『人生で大事なことはみんなゴリラから教わった』

 

 

ぼうっと過ごしていたらあまり本を読まなかった。昨年読んだ本は大体120~130冊ぐらい(漫画除く)なので、今年も100冊ぐらいは読みたいと思っていたが幸先悪し。年50冊すらこのペースでは怪しい。年始めの初読書が『学術書を読む』で、それが今年の1年を占うには幸先が良いかもしれない。昨年は『人間嫌い』だったのを思うとね。必ずしも多読にこだわらず色々読んでいきたいが、それでも一定の量は保ちたい。今年は特に読んだ小説の感想を軽くでも残していきたい。

12月のまとめ

12月に行った展覧会まとめ

 

和歌山県立近代美術館 和歌山県立近代美術館 コレクションの50年
和歌山県立近代美術館 美術館を展示する 和歌山県立近代美術館のサステイナビリティ
和歌山県立博物館 屏風の美―収蔵品の名品から―
アルフォンス・ミュシャ館 ミュシャアメリ

 

感染状況を見て大阪市に行くのを自粛していたらあまり巡れなかった。何としても行きたかった和歌山県立近代美術館の「美術館を展示する」を鑑賞できたので一応満足。コレクション展と共に、地方の一美術館がコレクションを築いてきた過程と、地方の中の文化施設として在り続けていくこれからの展望を見せられ、美術館の未来を考えさせられる展示だった。関西圏の美術館・博物館はあまり詳しくないので、これから色々と回りたいところ。年明けに気楽にうろうろできる環境になっているかわからないが。

大なり小なり展示を見てきたが、今年行った展覧会はちょうど200ヶ所だったらしい。来年もまた同じぐらい、いやもっと回れることを願って。

 

 

12月に読んだ本まとめ

 

マルク・デュガン『透明性』
カリ・ファハルド=アンスタイン『サブリナとコリーナ

植田彩芳子、中野慎之、藤本真名美、森光彦『近代京都日本画史』
川田伸一郎『標本バカ』
都甲幸治『引き裂かれた世界の文学案内―境界から響く声たち』
長田真作『もうひとつのせかい』
濱野ちひろ『聖なるズー』

 

籠って本を読むかと思ったらそんなことはなかった。机の脇には、図書館で借りてきた本が袋に何冊も入っているが、年末年始に消化しきれるかは怪しい。いや、全部とはいかなくとも何冊かは読もう。

今月読んで印象的だったのは、動物性愛者についてのノンフィクション『聖なるズー』。動物愛護だとか愛玩動物だとか、人と動物の距離のあり方について抱いていた微妙な違和感が、動物性愛者の話と著者の解釈で、少しはすっきりしたような気がする。動物性愛=獣姦だ、ヤバい連中だと先入観で決めつける前に、こういう人々もいるのだということ、そして動物への接し方について考えてみるきっかけになる一冊。