7月のまとめ

7月に行った展覧会まとめ

 

和泉市いずみの国歴史館
貝塚市歴史展示館
兵庫県立美術館 出会いと、旅と、人生と。ある画家の肖像 日本近代洋画の巨匠 金山平三と同時代の画家たち
BBプラザ美術館 新収蔵品を核に 東西作家のコンチェルト 特集展示-生誕100年 網谷義郎
神戸文学館 蘇る神戸ゆかりの文豪たち 其ノ弐
横尾忠則現代美術館 横尾忠則 原郷の森
あべのハルカス近鉄本店 近現代 日本画・洋画・陶芸 秀作展 
大阪髙島屋 高島屋史料館×高島屋美術部 アートのチカラ 2023
阪神梅田本店 村カルキ巡回展「我」OSAKA

 

 

田尻歴史館と並び、大阪府南部で建物を見たい展示施設として常に頭の中を占めていた貝塚市歴史展示館にようやく行くことができた。田尻歴史館は実業家の邸宅だった一方、こちらは大日本紡績の工場事務所であり、豪華では無いが壁面のタイルや丸窓が特徴的だった。建物内部で時代を感じられるのは、昭和天皇の巡幸に際して整備されたままになっている奥のニチボー貝塚の展示室ぐらいだったが(結局天皇は来なかったらしい)。入ってすぐの所では東京2020オリンピックの展示で、聖火リレーに関する写真などが陳列されていた。聖火トーチを近くでじっくり見ることができたのは嬉しい。常設展と思しき部分では7割ぐらいが女子バレーボール部のニチボー貝塚に関する展示だった。興味が薄いので感動も何も無かったのは残念だったが、12人制バレーの試合風景などバレーボール史の一面を見るような写真は興味深かった。

一通り展示を見終わって入口に戻ったところで、ボランティアの方に声をかけられ、建物や敷地などについての詳しい説明を聞いた。本当かはともかく、大松監督もあの辺で仕事をしていたんですよと言われると想像できそうで面白い。この建物が事務所で、あっちの方に工場、あっちに寮があって、向こうの体育館で練習していて、この道で工場に通って……と往時のイメージが浮かび上がるような解説をしてくれた。予備知識が無くてあまり反応できなかったのが申し訳ないが……。色々と聴けた話は興味深かったものの、歴史展示館の運営事情が厳しそうな話はどうしようもなさに辛くなった。ニチボー貝塚が一番の目玉展示なのはわかる一方、貝塚市の歴史に関する展示にもう少し割いてもいいような気がする。

関西への巡回は1年後のようだが、9月から福岡市美術館で開催される「日本の巨大ロボット群像」という展示がかなり気になっている。日本のアニメにおける巨大ロボットのデザインや映像表現に関する展示らしい。アニメ関連の展示では谷口吉郎・吉生記念金沢建築館で開催中の「アニメ背景美術に描かれた都市」も面白そう。

 

 

7月に読んだ本まとめ

 

四季大雅『わたしはあなたの涙になりたい』
遠野遥『浮遊』
アントワーヌ・ローラン『青いパステル画の男』

植原亮『自然主義入門 知識・道徳・人間本性をめぐる現代哲学ツアー』
岡田温司反戦と西洋美術』
小川幸司編、成田龍一編『世界史の考え方 シリーズ歴史総合を学ぶ①』
貴堂嘉之『移民国家アメリカの歴史』
和歌山大学観光学部監修『大学的和歌山ガイド こだわりの歩き方』

エドワード・ゴーリー『薄紫のレオタード』

 

このラノでの順位を見て以来、ずっと気になっていた『わたしはあなたの涙になりたい』をやっと読んだ。身体が塩に変わって朽ちながら死に至る塩化病を軸に、東日本大震災の被害と戦火で廃墟と化すも復興したワルシャワ絡めながら、喪失とそれからを描いた物語は、読みやすさの一方であまりラノベらしさを感じない話で綺麗で面白かった。ある事件や災害の被害を受けた人を「物語化」することに対する意見が描かれ、そういう物語の是非が問われているのも興味深かった。